ふと若い時のことを振り返っていた
大学を卒業し会社に入って、1年が過ぎたぐらいから
僕は新人にもかかわらず、他の同僚とは違う仕事を単独で
させられるようになっていた
その仕事の内容は先輩や上司もやっていない分野の仕事なので
自分一人で、手探りして
少し似ている仕事などを参考にしながら
要するに独学でやっていた
インターネットもない時代
情報源は少なかった。
本屋や図書館によく行った。
とにかく頼る人がいなかった
そしてだんだん頼らなくなった
そのころから、先輩に仕事を教わるということから
徐々に無縁になっていった
指導もされないし、叱られたりすることもない
独学でやることが身に付いてきて
やってみた仕事がとりあえず通用すると
その独学したレベルで、自分で自分にOKを出すことになる
ただし、どこまでが本当に必要なレベルなのかはわからないまま
もちろん、ほかの会社ではやっている分野だし
ただその時の職場でやってる人がいなかっただけ
業界的には必要なレベルというものがあったはず
10年近く経った時
その分野の仕事をしている会社へ転職した
そこには仕事を教えてくれる上司がいて
その分野の仕事に本格的に携わるようになった
業界標準の仕事のやり方を知ることができ
うれしくなり、自信が持てるようにもなった
なるほどこうやるのかと
始めのうちは新鮮だった
でもわりと早い時期に
上司は任せきりになった
僕もキャリアを身に着け始め
教わることはなくなっていった
そうすると、また独自路線を行くことになった
必要なレベルはよくわからないままだけど
一応、自信を持って仕事をしていた
その方面の会社でもあったので
なんとなく、後ろ盾があるような気持ちがあり
やっていることに不安はなくなっていた
すると自分のやり方を疑わなくなった。
我流であることを承認するようになった。
結局、独学するスタイルが僕の標準になった
そして、その後は会社を辞めて独立したので
もうだれにも教わることはできなくなった
そして、そのまま人生を歩み続けた
とりあえず
通用すればそれでOK
自分が納得できればOK
そんな考え方が身に付いた
でも
本当はそうではなかったはず
足りないことだらけだったはず
誰かに聞きたかった
でも聞ける人はほとんどいなかった
わからないことがあると
もやもやした気分を過ごさなければならず
長い時間を悶々と過ごすのは辛かった
本当は、身近な誰かに評価してもらい、
判断してもらい、アドバイスしてもらう
ということを経験したかった
少なくとも30代前半ぐらいまでは
「こうやるんだ」と仕事の基礎を学びたかった
『師』と呼べる人がいる人がうらやましかった
だけど今
そうではない人生を歩んでいる以上
どうするのが最善なのか
結局、自分が納得するということだけ
独学で、あるレベルに達しても
不足かどうかを自分で判断するだけ
不足ならもっと努力して
足りたと思うのなら一応達成
でも達成感らしいものがふわふわしているまま
そこにあるだけ
いつも中途半端な気持ち
もともと『努力する』という自覚はない
追い詰めるようなことはあまりしない
熱烈な向上心もあまりない
ここまで到達したいというハングリーさがないのだと思う
だからと言って、努力していないことはないと思う
いろんなことを吸収しているし、しようとする気持ちもあるけど
自分に無理のないペースでしかやらないだけ
強く目標を意識しないので
目標設定があいまいなのだろう
きっとそのせいなのかもしれない
そんな今
僕は
自分はどうしたいのか、何をしたいのかが
よくわからないまま、自問し続ける日々を過ごしている