僕が高校生のころのことだから、1980年前後のころになるのだけど
そのころとてもオーディオにとても関心があった。
とはいえ何万、何十万円もするオーディオが買えるわけでもなく、
ただカタログや音楽雑誌の特集などを読んで、
夢を膨らませていた。それが楽しみのひとつだった。
DENON、AKAI、TRIO、KENWOOD、
Technics、Nakamichi、Diatone、ONKYO
Marantz、Luxman
今では無くなってしまったオーディオブランドもある。
Sony、Pioneer、JVCなど今も大手のブランド
Aurex、OTTOなんていうのもあったな。
海外のJBLとかも有名だった
電気屋さんに行っては、
オープンリール、カセットデッキ、スピーカーなんかの
カタログをもらってきては、ただただ読むだけで楽しんでいた。
その当時脚光を浴びていたカセットデッキのノイズリダクションシステムを
ずいぶん比較して、頭の中で研究していた。
ステレオを買ってもらうというのはすごい憧れであったが、
そもそもレコードを聴いたりするためのステレオは
一家に一台あればいいものだし、一セットで何十万もしていた。
そんなある日、なんとうちにもステレオがやってきた
兄が高校生のときだった。兄の願いがかなったみたいだった。
4つスピーカーがある「4チャンネルステレオ」という代物だった。
そいつが来たばかりの頃、僕はまだ小学生で、まだ音楽に目覚めていなかったが、
高校生の兄にとっては垂涎のものが手に入った瞬間だったのだろう。
4チャンネルステレオはその時最先端のステレオで
兄と父のどっちが選んだのか、家電屋さんに勧められたのか
どうしてそれを選んだのかは知らないのだが、
その最先端のステレオシステムは、ほんの数年ですたれた。
もともと左右に音源が分かれているステレオ録音のレコードというものが2チャンネルなわけだが、
4スピーカーで聴くための音源としては、4チャンネルのレコードが出来なければその力を発揮できない。
今の4Kテレビみたいなことである。
テレビがいかにその再現力があっても、映像ソフトがなければ普通のテレビとなんら変わらないのである。
時代は、コンポーネントに流行が移って行った。
コンポーネントは、プレーヤー、アンプ、デッキが独立しているもので
そうなってから、前に書いたそれぞれのスペシャリストの会社(ブランド)が
どんどん登場してくるわけである。
そのあともいろんなムーブメントがあった。
レコードがCDに変わり、
ビデオがβとかVHSとかで競争があり、
レーザーディスクからDVDになり、ブルーレイができ、
いまはHDDに手軽に録画する。
メディアの発達はほんとに日進月歩で
いまや掌に入る小さなメディアで音楽も映像も再生でき、
同じような機械で、カメラもPCも電話もひとつになっているのである。
ジャイアントロボを操作する腕時計のようなものも
ダブルオーセブンのマッチ箱のようなカメラも
全部現実のものになった。
そして、オーディオのカタログをずっと眺めて知識の蓄積をしていた
マニアック少年の夢の世界は
5歳の子どもでも操作できる手軽な機械になっているのである。
手塚治虫も星新一も真っ青だ。
僕は最近までずっとガラケーで、パソコンがあればスマホはいらないと思っていた。
でも、カタログでずっとがまんしていたからだろうか。
ずいぶんいろんなスマホを見比べていたような気がする。
そしてそんな僕が選んだのは、iphoneではなく
Nexus5だった。
スマホは本当に便利だ。
なるほどこれは使うのと使わないのでは大きな違いだとわかった。